最近どうも睡眠の質が悪くなったようで、起きると顎が疲れていたり、だるく感じたりすることがある──それは、就寝中の歯ぎしりや食いしばりが原因かもしれません。こうした症状は、歯の表面を傷つけ、顎関節に負担をかけるなど歯と口腔の健康を脅かす大問題です。こちらでは、土曜日も休まず20時まで診療している、久喜市の歯医者「さくら歯科クリニック」が、歯ぎしりや食いしばりの原因と対策についてご説明します。
歯ぎしりの原因と影響
一般に歯ぎしりや食いしばりの原因はストレスだと言われています。たとえば、イライラしたり落ち着かなかったりするとき、自然と貧乏ゆすりをするのと同じメカニズム。歯を強くすり合わせて、ストレスを解消しようとしているのだと言えます。問題なのは、その際に歯にかかる力。ふだん、意識して咬みしめるときは、自分の体重とほぼ同じ力がかかっていますが、睡眠中はその倍の力がかかっていると言われています。これにより毎晩の歯ぎしり、食いしばりで、歯や顎は相当なダメージを負っていると言えるでしょう。また、顎や歯の痛む場合、「TCH」=歯列接触癖(しれつせっしょくへき)といって、無意識に上下の歯を接触させている癖も原因として考えられます。この「TCH」は睡眠中だけでなく、昼間にも起こります。歯ぎしりのように強い力ではないものの、長時間、上下の歯が接触することで、口腔内にダメージが蓄積します。これら歯ぎしり、食いしばり、TCHが続くとやがて下記のような影響が表れると考えられます。
影響のある部位 | 歯と資質 | 歯周組織 | 顎関節 |
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具体的な影響 | 歯の表面を構成するエナメル質が損傷し、歯がもろくなり、知覚過敏の原因に。 | 強い力が加わることで歯槽骨が弱くなり、歯周病が悪化することがあります。 | 顎に痛みが出たり、口を開け閉めするたびに顎が鳴ったり、口が開けづらくなります。 |
1分でできる、歯ぎしりセルフチェック
歯ぎしりや食いしばりをしていても、就寝中だけに心当たりがないことが多いのも確か。では、ご自分が歯ぎしりや食いしばりをしているかどうか、何を判断材料にすればよいでしょう。下記の項目をチェックしてみてください。どれかひとつでも当てはまれば、注意が必要です。
- 起きたとき、顎がこわばった感じがする。顎が疲れていたり、だるかったりする
- 歯が欠けている。こすれてヒビが入ったような跡がある
- 口を閉じると、上下の奥歯が当たる
- 何かに集中しているとき、無意識に歯を咬みしめている
- 知らぬ間に、頬の内側を咬んだ跡があったり、舌に歯型が付いていたりする
- 慢性的な肩こりに悩まされている
- 頭痛が頻繁に起こる
- 耳の下あたりから、あごにかけて凝りやすい
- 冷たいものを口にすると歯がしみる
歯ぎしり改善のために
つらい歯ぎしりや食いしばりですが、改善する方法はいくつかあります。それが日頃のセルフケアと歯科クリニックによる専門的なケアの二つ。まずご自分でできるケアを中心に実践してください。それでもまだ改善が難しい場合は信頼できるクリニックに相談してみましょう。
セルフケア
- 舌を上下左右に動かして口の周りの筋肉をほぐします。だ液がよく出るまで実践。
- 仕事中など歯を咬みしめていることに気付いたら、意識して口を大きく開ける。
- 息を吐くことに重点を置いて、深呼吸をします。
- 就寝前の1~2時間は、自律神経を休ませるためできるだけリラックスを。
- ストレスをためない、ためたら解消する習慣づくりを心がける。
歯科による専門的なケア
- 歯ぎしりの不快な音は、歯の詰め物を研磨することで改善されることも。
- マウスピースを装着して症状をやわらげ、歯と歯ぐきへの影響を最小限に。
歯ぎしり、食いしばりはマウスピースで緩和できる
歯ぎしりや食いしばりの発生を完全に抑えることは現段階では難しいというのが現状です。しかし、歯ぎしりや食いしばりがある場合でも、就寝中にマウスピースを装着すれば歯や顎にかかる負担を大幅に軽減できます。なお歯ぎしり防止用のマウスピース製作は保険内で可能です。くわしくは当院にご相談ください。